セマンティックWEBとFolksonomy

前のエントリに書いたとおり、もうブログはやめようと思いつつ、ついうっかり久々のエントリ。

Goodpicのエントリで解説されている「Folksonomy」が流行になりつつある様子。メタタグによる「意味づけ」により繋がりを作り上げるというものだが、大事なのは乱数要素、というかある種のChaosが加味されている点。例えば、Folksonomyの元祖とも言うべきdel.icio.usで「ANT」を調べると「Actor Network Theory」と「Apache Ant」の双方が引っかかる。これを別々のものと分類するのではなく、敢えて混沌とつながりを持たせたままにすることで、新たな発見を生む、予想し得ない化学反応を起こすというものが「Folksonomy」だ。

これはまさにセマンティックWEBの世界で苦しんでいる「Ontology」を飛び越えるものだろう。Goodpicにリファーされている論文を読むと、その辺の違いを「Categorization」と「Classification」という言葉で説明している。
実際、セマンティックWEBはそもそもアカデミックな思想から生まれでたもので、FolksonomyはWEBのトレンド、Grass rootsから生まれたものだ。一般に、アカデミックなものは理想的・理論的で整然としてはいるが、実現時期はまったく見えない。一方、WWWの世界は早いもん勝ち、多少不具合があってもリリースしてキャズムを超えたものが一瞬にして世界を制覇する世界である。理路整然とした世界が出来上がる前に、混沌としたものが世界を支配してしまうのだ。HTMLの普及を引き合いに出すまでもなく、混沌こそがWWWの本質なのである。

FolksonomyはそうしたWWWの本質とうまく整合すると同時に、誰もが中学生の頃に一度はやったであろう、「辞書を調べているうちに気がつくとエロい言葉を必死に読んでいた」状態を作り出す、人間の性(さが)にもフィットしたアーキテクチャだと言えよう。WWWの世界では、大手企業が提供する「戦略的な」サービスよりも、個人が作った未熟だがCutting Edgeなサービスのほうが時代をリードするのも当然であり、逆に言えば、いつまで経っても大手企業にとってはWWWは参入が非常に難しい世界なのである。
(そう考えると、就業時間の20%を個人の興味に当ててよいというGoogleはやっぱりすごい企業だなあ)


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