商社も面接の季節

前回のエントリからまた随分時間が経過してしまった。
理由は色々あって、勿論3月の決算期末シーズンだったから、というのも理由の一つではあるが、実は本ブログに対する自分の中での位置づけが変化したことによるところが大きかったりする。これについては、WEB上のドキュメンツ/コンテンツについての総論としていつか言及するつもりではいる。
いつになるかはまったく不明ですが。

さて、就職協定廃止以降、新卒学生の就職活動時期が早まっているようで、そろそろ面接真っ盛りのようだ。いつも思うことなのだが、日本人、特に学生はプレゼンテーションがうまくない。だからこそ所謂就職マニュアル本、面接特訓塾(?)、最近はマニュアルブログみたいなのが人気なのだろう。学生諸君も、毎日自己PRの練習やれ志望動機の練習やれ、最後の仕上げに余念がないに違いない。
しかし、面接が始まる今頃の時期には、既に勝負は決していると言ってよい。
今更小手先のテクニックを磨いたところでどうにかなるものではないのだ。

前言に反するようだが、プレゼンテーションにテクニックがないわけではない。
例えば、一般に、社会人のプレゼンテーション、レポートでは結論を先に述べるのがよいと言われている。しかも、できるだけシンプルな方がよい。説明が必要な場合には、結論の後で付け加えるのだ。
この方式に従った、面接におけるプレゼンテーションのテンプレートは下記だ。

  1. 自分のセールスポイントを簡潔に述べる。
  2. セールスポイントを例証する。
  3. 面接先の企業で必要とされる能力につき、簡潔に述べる。
  4. 必要とされる能力につき、例証する。
  5. 自分のセールスポイントと、必要とされる能力の一致が自明であることを述べる。
テンプレート自体は非常にシンプルだ。
但し、大事なのはテンプレート、テクニックではなく、述べられる中身である。上記テンプレートで言えば、最も重要な部分は「例証」の部分だ。まあ、流石に自分のセールスポイントについての例証は簡単だろう。また、仮にそれが事実に反していたとしても、面接官には知る由もない。学生の表情がどれくらい真剣かどうか程度で判断するしかないのだから。
その一方で、「面接先の企業で必要とされる能力」については、事前に多くのリファレンス取り(裏取り)をやっておかねば例証など不可能である。加えて、それが事実に反している場合、面接官には簡単に見破ることができる。
つまり、就職活動の成否は、面接までにOB訪問を如何にうまく利用して、リファレンスを取れるか、にかかっていると言えるのだ。
よって、最初に述べたように、面接が始まった時点で、勝負は決している、というわけなのである。

学生・若手サラリーマン向けに様々なスキルアップの場を提供しているFRIのBLOGに、OB訪問に関するエントリがあるが、そこにある、「自分はこういう仕事をしたい、こういう職場で働きたいと思っています。そういう点から考えて、A社は僕にとって良い会社だと思いますか?」との質問は、公平な観点からリファレンスを取るのに有効な質問方法だろう。もっと作為的にやるならば、「(自分のセールスポイントである)○○という能力は、御社のどういう仕事に役立ちますか?」と聞けばよい(「そんな能力はいらん」と言われたら、残念ながら縁がなかったということだ)。

こうした情報収集は、何も就職活動においてのみ行われるものではない。
たとえば、米国やヨーロッパでのベンチャー投資では、投資しようとする企業についてのリファレンス取りを行うことは一般的に行われている。投資先候補の企業に対し、事業計画その他と一緒にReference Call Listを要求し、その企業の取引先や、マネジメントが前に在籍していた企業の上司・同僚・部下に対し、「この会社、大丈夫?」と聞くわけである。投資と言うともっとテクニカルな分析を行い、複雑な数式を用いた調査を行ってそうであるが、実際にはこうしたベタな浪花節的活動が最も重要なのである。

就職活動もベンチャー投資も、つまるところは人と人の出会い、結びつきの場である。
いずれの場合にも事前に十分な調査と検討を行い、両者合意の上で同じゴールに向かって邁進することが最も理想的なのだ。
多くの場合、それが理想でしかないこともまた事実ではあるが。


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