大企業とStart-up

Start-upと言ってもなじみがないかもしれないが、所謂「ベンチャー企業」のことである。9月まで米国のStart-upに1年間、その後大企業に戻ってきてしみじみ思うが、両者の差はやはりMotivationだ。Start-upで働く人々は基本的にハイテンションで、会社全体に活気がある。大企業の中にも勿論そういう人たちはいるんだけど、全体としては沈んでる人も結構いて、平均値でいうと明らかに大企業の方がテンションが低い。まあ、大企業の場合は、本人の意向に沿わない配属やアサインメントのせいで鬱々とする局面がどうしても出てきてしまうからしょうがないのだろう。グリッドコンピューティングよろしく、システム全体=会社全体をモニターし、コントロールしないと崩壊してしまうのだから当然のことだ。問題は、グリッドみたいに完璧にモニタリングできるわけじゃなくて、小さなエラー=不平や不満、がシステムの随所に現れてしまうことだろう。だからこそ、システマティックな構造にしやすい「トップダウン」が好まれることが多いんだけれども。でもって、そのテンションがどこに影響するかというとシステム全体(会社全体)のパフォーマンスだ。勿論、大企業の場合は鳥の巣理論的な分散投資効果が現れるけれども、一点突破するパワーはStart-upの方が上だ。
一方、大企業とはいえ商社の中にはハイテンションな人が多い。だからこそ、企業全体としてのパワーが結構あって、理念も戦略も各社メタメタながら高収益を上げ続けているんだろう。大企業なのだから、当然不本意な配属やアサインメントの中で耐えている人がいるはずなのに、平均値で言うと他の業態よりもテンションが高いような気がする。いや、あくまで主観だが。思うに、商社の場合、そもそも社員のテンションが高い一方で、個人のインテンションは低いんじゃないのかね。よく言われるとおり、商社には背番号制的なものがあって、新入社員は有無を言わさず何かのインダストリーのビジネスにアサインされる。で、そこで雛鳥のようにインプリンティングされたビジネスを生涯続けるのが一般的だ。それでもなおかつハイテンションで、Motivationをキープできるということは、そもそも個人のインテンションがないか、インダストリではなく職務そのものに強いインテンションがあるということだろう。まあ、そういう人を最初に採用するんだろな。
翻って自分はどうか。「本家」で書いてるような世界へのインテンションが非常に強い。その一方、そういう世界が商社にはカネにしにくいということも良く理解しているつもりである。そうした二律背反する現実の中で、いつまでもがき続けられるのか、結局テンション上げていかないと沈んでいってしまいそうな恐怖に追われる毎日なんだなあ。